・座ると自身で立ち上がることができないため、捕まる手摺りが必要。
⇒左右と正面に手摺りを設置して身体を起こせるようにしました。
この手摺りは衛星面も踏まえ、DAIKENのビオタスクとしました。
そして、何か汚れ物が出来ても洗えるように、深型シンクを取り付けました。
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施工事例
一人暮らしの要介護者のための水廻りの集約工事~負荷があっても自宅で自由に生活をしたい~
2021.9.6
ご相談を頂きましたお客様は、入院中に要介護認定を受け、そして退院後は一人暮らしという状況でした。
まずは病院関係者、ケアマネージャー、その他関係者の方々を交えて、ご自宅で出来ること、できないこと、障害となることを一緒に確認しました。
前提として、今まで過ごしていた2階の主居室を1階玄関脇にある洋室へと移動し生活の基幹としました。
【出来ないこと】
①高低差20㎝以上の上り下りは不可
②補助器具無しの長時間の直立や移動は不可
【要望】
①洗面台については、立ったまま使用することが難しいので、座って使用したい。そのため、足元は開いたものがいい。
②いざという時のために手摺りが欲しい。
【ポイントとなること】
新たに主居室とする1階の洋室はトイレと浴室から遠く、歩くと5分以上かかってしまいます。
そのため、少しでも身体への負荷を減らすために、主居室の近くにトイレを増設することとしました。
【プラン】
主居室とする洋室の横が土間の納戸となっているので、そこに新たに浴室、トイレを隣接する形で設置することにしました。
脱衣室兼、洗面所と言った形にして、トイレ、シャワールーム、主居室へのアクセスの結節点としています。
既存の洋室の壁を抜き、キッチンへは扉でつなぐことで回遊性を持たせ、モビリティを高めることとしました。
主居室に隣接する部分に、押入れシャワーユニットを設置することとしました。
押入れシャワーユニットの選択は、性能より使い勝手を優先して決めました。
洗面台は座って使用できるようパブリックの洗面台とし、鏡を別途手配をすることにしました。
その際、使い勝手の良いように水栓が固定式だったものをハンドシャワーに組み合わせを変え、ホースが伸びるようにしました。
洗面台の天端高さもお施主様が使いやすい位置に変更をして取り付けています。
そして各所に抗ウィルス機能のある手摺り(DAIKENのビオタスク)を取り付けることとしました。
手摺りの位置などはお施主様の生活をイメージしてこの時はこう使ってとシュミレーションをして考えましたが、
実際はお施主様によって、住み熟していく工夫がされるなと実感しました。
特にシャワーユニットへの入り方についてはイメージと反対側だったことに驚きました。
床材については、将来的に車椅子になっても使用が出来るように、水廻りで使用可能な車椅子対応のものとしています。
急勾配のスロープはちょっとした段差よりも危険なので、緩やかなスロープが難しいところは、あえてステップにし、
すべてのステップの高さをそろえて、慣れた高さでの上下移動を基本としました。
☆施工前写真
増築をした土間はこんな感じのところでした。ここに、2坪ちょっとの空間を作りました。
居室の天井よりも50cmほど天井が下がっていたので、上階の床を一部剥がして、梁を撤去し、柱で補強をしました。
☆施工後写真
【出入口】
・昇降しやすい高さを確認の上、階段を作りました。
・杖をついた状態でも開閉出来るよう引戸にしています。
【出入口を反対側から見た写真です】
出入口→収納棚→トイレ→洗濯機置き場→洗面台→浴室、と一直線に並んでいます。
【浴室(シャワーユニット)】
・シャワーユニットの出入り口扉は折戸が基本ですが、この押入れシャワーユニットは、
出入り口は間口の広い3枚横引き戸が可能なもので、ユニットの性能よりも使い勝手を優先したものとしています。
・座ったとき、転んだときなどを想定して、手摺りを追加設置しました。
・素早い動作が難しいため、洗面所用暖房機を設置して、各室内の温度差によるストレス軽減しました。
【トイレ】
・トイレの背面にあるタンクに手洗いが付いており、使いづらく、近くに他の水栓がない。
⇒背面手洗いは使いにくいので、別に手洗いを設けました。
・既設のトイレはトイレ室内が狭く、自分が入るだけでやっと。生理用品が置けない。
⇒補助器具を使用しながら座れるように余裕のあるスペースとしました。
・座ると自身で立ち上がることができないため、捕まる手摺りが必要。
⇒左右と正面に手摺りを設置して身体を起こせるようにしました。
この手摺りは衛星面も踏まえ、DAIKENのビオタスクとしました。
そして、何か汚れ物が出来ても洗えるように、深型シンクを取り付けました。
【各所に取り付けた収納棚】
移動する場所には全て手摺りを設置して、いざという時に起き上がるなどができるよう対応としましたが、
病院に比べご自宅での一人暮らしの生活には身体的にも精神的にも負荷が多く、大変なご様子でした。
しかし、それでも我慢をしたり制約のある病院での入院生活よりも、自由気ままに生活の出来るご自宅がいいとのことでした。
私たちがお施主様の生活の質に、どれだけ役立ち、貢献できるのか、QOLについて改めて考える工事でした。